6月4日まで奈良国立博物館で開催中の特別展「快慶」。
今日4月25日からはいよいよ醍醐寺の「弥勒菩薩坐像」もお出ましになりますので、これから奈良へ旅されるなら、是非「快慶」展へ行って観ていただきたいお奨めの展覧会です。
桜満開の頃に観に行って、とても感動したことを思い出しながら、ブログでも感想を書いてみたいと思います。
鎌倉時代を代表する仏師といえば、運慶と快慶。
二人が造った東大寺南大門の金剛力士像をいつも間近に見ていることもあって、「運慶快慶=仁王さん」と「天才仏師」のイメージが強過ぎるのでしたが
快慶作と判明している全仏像の8割が一堂に介する今回の展覧会。
たっぷりと快慶仏の魅力に触れることができ、「人間快慶」にスポットを当てたところから、御仏への厚い信仰心やストイックなまでの制作態度に触れ、快慶仏をまた違った視点で鑑賞できるようになりました。
個人的な好みもありますが、展覧会全体を観て「快慶仏は何て美しく格調高いのだろう」と思いました。
快慶初期の「弥勒菩薩立像」↑にして、もう完成された美しさ!
パンフ↓のメインビジュアルでもある「釈迦如来立像」↑にもうっとり。
どちらもボストンやキンベルなどアメリカの美術館所蔵というのが悔しいのでしたが、今回の機会で観ることができたのは有り難いこと。
東大寺俊乗堂にいらっしゃる「阿弥陀如来立像」↑は端正なお顔立ち。でも、博物館とお堂ではまた違ってみえるから不思議です。
同じく東大寺の「地蔵菩薩立像」↑
キャプションには「秀麗な顔立ちと整理のゆきとどいた衣紋は形式美の極地というにふさわしく、入念な彩色も含め快慶様式の完成を示す」とあり、ただただ美しいと感じました。(台座も背中も!)
そしてこちらも東大寺で何度も拝観している「僧形八幡神坐像」
(僧形八幡神坐像については→東大寺HP)
生気溢れる相貌、生き生きと写実性に富みながらも神々しいばかりに超越した神像。袈裟に描かれた文様や彩色などがはっきりと美しく、博物館で拝する醍醐味も味わいながら鑑賞しました。
快慶仏の格調高く気品のある様子は、忿怒相ながら気品ある顔立の不動明王像にも表れているのですね。
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展覧会の構成にも工夫が色々あって、7章に分けられたテーマと内容がわかりやすかったのも観ていて楽しく勉強になりました。
最後の章「安阿弥様の追求」では、三尺阿弥陀像をまとめて展示されていて、これは本当に素晴らしかったです。
また、第6章「霊像の再生ー長谷寺本尊再興ー」のキャプションで紹介されている、長谷寺再興縁起に快慶のことを『その身浄行なり、もっとも清撰にたるか』と書かれていること。これは『仏師持戒を守るなど造仏作法にのっとって如法に造立したことを示している』こと で、快慶仏をずっと鑑賞してきて、そこに書かれていることの意味がわかるような気がしました。
『斎戒を持して如法に仏像をつくることを意識しつづけた、信仰者としての快慶』(図録のトップページに掲載の、奈良博主任研究員・山口隆介氏の文章より)・・・それだからこそ、快慶のつくる御仏はかくも格調高く美しいのかと腑に落ちたのでした。
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4/25から出陳の「弥勒菩薩坐像」↑や、5/16から出陳の「地蔵菩薩立像」↓も楽しみで、会期後半にもまた伺う予定です。
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図録には、出展されていない快慶仏や、銘文の集成、截金文様のアップ、X線画像なども掲載されていて見どころ満載です。
(截金文様好きにはタマラナイ!)
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特別展「快慶」日本人を魅了した仏のかたち
会場:奈良国立博物館
会期:6/4まで
休館日:毎週月曜日(ただし5/1は開館)
開館時間:9:30~17:00(毎週金土曜日は19時まで)
詳細はこちら:奈良博のページ★/読売テレビのページ★