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2014年6月22日日曜日

松前旅館で「墨あそび」♫

ひょんな偶然から松前旅館さんにお邪魔して「墨あそび」をしてきました。「墨を磨って筆で書く」なんて、中学校以来のような気がします。短い時間でしたが、集中して墨の世界に没頭でき、何とも楽しいひとときでした。
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ひょんな偶然とは・・・昨日は出品しているグループ展のお当番で文化会館に。そこで「書」の作品展をしている方達との会話から「書をしている人は余白などバランス感覚が鋭いので絵を描いたら上手いらしいよ」「絵を描いている人は味のある字を書くらしいよ」「絵も書も構図を一番考えるから写真を撮らせたら上手いらしいよ」とか、そんな話題で盛り上がり、ふっと、松前旅館さんで「墨あそび」したいなぁと思った直後の、お昼の休憩時間に文化会館を出たところで、松前旅館の女将さんにばったり出会ったという偶然!思わず迷わず「後で墨あそびに伺ってもいい?」という言葉が飛び出たのでした。
では「墨あそび」の世界へ・・・
久しぶりに磨る墨・・・やや緊張しながら「こんな感じでよかったっけ?」硯の感触も新鮮でどきどきです。
まずは、墨の種類の違いで濃淡の違いをみたり、筆に水を含ませることによっても墨の濃淡が違うことや、種類の違う筆で筆使いの違いをみたりしました。
そして、書きたい言葉や好きな字を一つ決めます。
何がいいかなぁ・・・好きな字というのではないけれど、ふと思い浮かんだのが「心」でした。
書く字が決まったら、色紙大の紙に、まずは鉛筆でデッサンをします。
デッサンというのは、紙の中のどの位置にその字を置くかという構図を考えること。バランスを見ながら出来上がりを想像して、こういう風に書こうと考えるのですが・・・。
墨で書くということは「一気呵成」の芸術と思い込んでいましたので、デッサンもして構図も考えて、墨の濃淡や筆運びも考えてのことというのが「目から鱗」的でした。(でもこの深さに到達するにはやはりお稽古お稽古しかないというのもよくわかっているつもりですが。)
松前旅館の女将で、墨あそび人の柳井さんが、実際に「心」を書きながら、デッサンの手ほどきを。
柳井さんが書かれた「心」はこんな風に。
「心」という言葉から自然に沸き起る想いやイメージを膨らませて書くようにとアドバイスを受けて、私が書いた「心」はこんな風でした。
「心」の点、点がにっこりお目目のようで思わずsmileが出たのです。
心の中に湧き上がったインスピレーションに真摯に向き合うのは楽しい作業で、だから上手下手はあまり関係ないようにも思えます。
楽しくなって、もう一枚書きたくなりました。
思い浮かんだ字は「花」です。左が下書き、右が色紙に清書したものですが、断然下書きの方が勢いがあっていい感じ。これは、その下書きの「良くできた」という意識に捕われた結果のようです。清書の時は、またそれだけに集中するように・・・というアドバイスでした。

ところで、近頃の義務教育では墨を磨らないで墨液で授業をするらしいのです。「まさか」と半信半疑でしたが、その事実は衝撃的でした。
中学卒業以来の墨をする体験でしたが、久々に触れた墨の匂い。
ゆっくり時間をかけてすっていく感覚。墨があるというのはとても豊かなことだと思いました。でも今の暮らしでは中々できないことですが、それだけに学校でこそ墨に触れられるようにしなければと思います。

柳井さん曰く
奈良の墨作りは95%をシェアしながら、墨職人の、なんと少なくなってしまったことでしょう!「墨」だけにとどまらず、伝統芸能を支えてくださっているのは、ARTISTだけではなく、職人の方たちなのです。次世代に墨を伝えていくためにも、義務教育の授業で「墨」を磨ってほしいと。 せめて奈良の小中学校でも墨をつかってほしいですね。

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ひょんな偶然から「墨あそび」をさせていただいたその日
もう一つの出会いがありました。
6/22(日)に談山神社にて<<『音語り』さくらさく〜鼓と朗読による桜と月の物語>>を奉納される 望月太佐衛さんの鼓とYUKIIさん朗読の、奈良初お披露目に立ち会うことができたのでした。
<<『音語り』さくらさく〜鼓と朗読による桜と月の物語>>は
『鼓の里』が奈良県桜井市多武峰にあることを題材に、桜の木が鼓に生まれ変わって音の花を咲かせられることを、月から学んで新たな道を歩み始める桜の物語・・・。
談山神社 権殿にて 6月22日(日)午後2時~3時に奉納されます。
お知らせが当日になってしまいましたが、日曜日に談山神社方面にお出かけの折には、是非お立ち寄り下さい。
松前旅館さんでは時間の都合が合えば宿泊者以外の方でも
「墨あそび」をさせていただけるようです。
興味のある方はお問合せになってみてください。